先日インスタのタイムラインに投稿した木製の室内窓(回転窓)の動画がなかなか良い出来だったので、ブログでも紹介したいと思います。
回転窓の特徴
- 開閉方式が特徴的
- 類似の開閉方式の窓に比べて、開けた時の窓のせり出し量が少ない
- 特殊な金物を使用して、正逆無く18度刻みでクリックしながら360度回転します。
- 小型の室内窓を想定して設計されています(5kg程度)ので大型の窓は製作出来ません。
(動画の窓サイズは縦600×横650mmでしたが、このサイズですでに限界と感じました。出来ることなら高さを450mm程度まで低くしたい所です。) - キコキコとかギリギリとしたバネの音がします。
- 鋳物製で手加工で作られた金物なので、製品誤差(精度のバラツキ)が多いことが悩みの種です。
唯一無二の金物
木製の回転窓に使用する金物で、クリックしながら360度回転する金物は、当社が知るところでは国内の会社で1社1種類のみ(カラーは3色)の商品しかありません。
「唯一無二の金物」です。
クリック機能のない金物もありますが、その場合は、別途で開閉を制御するためのステーが必要になり360度回転しなくなります(約90度の開閉範囲になります)。更に、閉じ状態を保持するためのストッパーも必要になります。
それはつまり、「押し倒し窓」や「滑り出し窓」と同じ事になってしまい、回転窓の意味が無くなってしまうのです。
同時に複数台分の掘り込み加工を連続で施しましたが、基本的にはどれを組み合わせても一発で取り付けOKでした。
鋳物製のため、厚みや加工にバラツキがあり、モノによっては掘り込み深さが干渉してしまい、金ヤスリで裏を削って整えたり、パッキンを使用してクリックのゆるさがなるべく均一になるように座の掘り込み深さを調整したりしましたが、中心だけはしっかりと出ていたので、そこは、さすがだなと思いました。
それはそういうもの
木製の回転窓に使う金物は、1社1製品しかなく、しかも鋳物で手作り。構造は、放射状に山と谷がジグザグに掘られた円盤型のプレートを向き合わせに2個重ねてバネで引っ張ってくっつけてあり、山と谷がかみ合ったところでクリックする、とてもアナログな構造で出来ています。
製品誤差が大きく構造も原始的。クリックが硬すぎたり、逆にゆるすぎたり、独特の音が出ますが、唯一無二の金物を使用しているので、それはそういうものなのです。
過去にお客様から「なんか音が出るんだけど・・・」と言われたことがありますが、金物について「1社1製品しかない事。鋳物で手作りである事。アナログな原理で出来ている事。どうしてもそうなってしまう事」を説明をすると、すこしおどろいた様子で、そうなんですねと納得してくれました。(特に金物が1種類しかなく選択の余地がないことに驚いていました。)
願わくは、鋳物ではなく、型押しや削り出しなどの均一性の高い製法で作られた金物が使用したいのですが、現状は新たな金物が開発される見込みも無いと思われますし、回転窓自体の需要が少ないので、そこは仕方がない事かとあきらめています。
木製の室内窓を作る木工所ならみんながもっとよりよい回転窓を作りたいと、もっといい金物はないものかと思っていると思います。(単純に当社が知識不足で他社製の金物を知らないだけかもしれません。何かいい金物を知っていれば教えてください。切実)
やっぱり回転窓がいい
新築やリフォームなどで木製の室内窓を付ける際、回転窓か滑り出し窓のどちらかで検討しているというお客様でしたら、当社の場合なら滑り出し窓をすすめます。
回転窓がいいという客様には回転窓をすすめます。
先日オーダー頂いたお客様の場合でも、本記事と同じ内容のことをお話ししたり、回転窓の構造上、戸当りが無くて4方にすき間があること、戸当りを付けようとしたらちょっと無理やりな感じになって見た目や納まりが不自然になったり360度回転しなくなると言った説明をしました。
その結果、「やっぱり回転窓がいいです」と言うことでオーダーが決まりました。
用途や設置場所などによって回転窓が最適な場合もあれば、滑り出し窓でも問題ない場合などがあります。
回転窓には回転窓の良さがあり、滑り出し窓には滑り出し窓の良さがあります。
用途や目的に応じて最適な室内窓をオーダーしてください。ただ本記事の内容を予備知識として事前に入れておいていただけると、工場としては助かります。